【AFTER GAME】 2022-23 千葉J戦(1/18)~層の厚さを前に、優位を見出して戦うも敗戦~

取材:文:荒 大 text by Masaru ARA
写真:B.LEAGUE photo by B.LEAGUE

オールスターゲームを終えての初戦、ロボッツは敵地で千葉ジェッツと対戦した。時折相手に突き放されつつも追いかける展開が続く中、ロボッツはインサイドでの攻防を次第に押し切られてしまう。アウトサイドシュートの好調さでシーソーゲームに持ち込んだが、100-91で敗れた。千葉Jとは毎度好ゲームを展開するものの、結果を見れば昨シーズンから7連敗となった。「もう少し」を互いに押し切ろうした、強豪との1勝を巡る駆け引きを探る。

豊富なハンドラーをどう抑える

#9二上耀や#13大倉颯太が膝のケガで長期離脱中と言えども、千葉Jのオフェンスの起点は豊富そのものだった。ポイントガードを#2富樫勇樹や#11西村文男、#4ヴィック・ローや#34クリストファー・スミスといった外国籍選手たちも難なくこなせる。ロボッツは試合を通じて、とりわけ富樫へのディフェンスを粘り強く行っていった。

口火を切ったのは#13中村功平。1対1で対峙したかと思えば、そこに#11チェハーレス・タプスコットが加わって行く手を阻む。打開を狙ったパスをこの2人が引っかける…というシーンが度々見られた。最終的に、富樫のターンオーバーは今季の開幕戦以来となる5つに達した。6アシストを通されたものの、キーマンからのオフェンスを満足に機能させない、という意味ではロボッツが先手を打った。

ところが、ローやスミス、さらには#31原修太が起点となると、ロボッツはなかなか守り切れない時間が増えていく。フィジカルの強さに押される場面もあれば、逆を突かれる場面も出る。1人では守れないならばとヘルプが寄ると、さらにその裏へとパスが通っていく。そこをケアして…となると、今度はゴール下でボールを受けた#33ジョン・ムーニーが的確にズレを作る。意表を突くようなパスを通されるシーンも度々飛び出し、終わってみれば千葉Jはチーム全体で32本のアシストを記録して得点を伸ばす。

ロボッツは多くの局面で、追いかける戦いを強いられた。試合を振り返った#25平尾充庸はこう話す。

「富樫選手やロー選手、スミス選手と、プレーを組み立てられる選手をしっかり抑えようと試合に入りましたが、今日は原選手を起点とされてしまいました。後半は抑えるべき富樫選手を起点とされてしまい、自分たちの甘い部分が出てしまいました」

リチャード・グレスマンHCが「Urgency(危機感)が十分ではなかったかもしれないが、全体を見れば良い部分はあった」と話す。ただ裏を返せば、そうした良い部分を40分間の中でどれだけ長く出せるか、という部分も新たな課題となる。平尾からも1試合の中の安定度の高さを求めようとするコメントが出た。

「1試合を通して抑えるべき選手を抑えきれない、前半はできても後半抑えきれないという部分があるので、マッチアップしている選手だけに任せない、しっかりと周りの選手が助けてあげることができれば失点は減っていくと思います。逆に千葉Jさんを相手に91点獲れたということはすごいことなので、オフェンスは継続していき、自分たちの課題である失点を改善していければと思います」

上位陣の戦いぶりは、得てして波が少ない、あるいは劣勢に立たされたときであってもポンと戦況を立て直してしまえる切り札がこれでもかと隠されている。そうした切り替えの多さや、いざというときの交代に対する割り切りの良さも、今後のロボッツに対しては改めて教訓となったことだろう。

気分新たに、後半戦へ

千葉J戦はオールスターゲームを挟んでの試合となったわけだが、ここに出場したメンバーも、あるいは1週間試合が空いたメンバーも、見せ場を作っていった。

オールスターゲームに出場した平尾は、シュートタッチの良さが続いており、相手とのギャップを度々作って13得点を記録。オールスター前のリーグ戦でやや苦しんだシーンが続いていたことを考えれば、やはり彼が元気なのは心強かった。

また、この試合で一際元気なところを見せていたのが#13中村功平だった。この試合で3ポイント5本、うち1本はファウルをもらっての4点プレー完成ということで、終わってみれば18得点。プロでのキャリアハイ更新となった。彼の得点が伸びる、ということを考えると、自らシュートを作って得点する、というのではなく、彼に回ってくるまでのパスの良さ、ディフェンスの収縮度合いの良さといったところが出ている…といっても良かった。

チームはこれで30試合を終えて、リーグ戦は折り返しを迎えた。ここからは順位の近いチームとの対戦も増えるため、これまで以上に一戦一戦への遂行力や集中力が試される試合が増えていく。また、他地区の上位争いを繰り広げるチームとの対戦もまだまだ残っていることを考えても、一つとして楽に臨める試合はないだろう。

グレスマンHCは千葉J戦後に後半戦に向けてこう意気込んだ。

「シーズンの始めよりもチームとして良くなってきています。また、強豪チームとの試合も残っているので、引き続き成長していきたいです。ディフェンスで止め続けることができないと勝つことは難しいので、ディフェンスの部分でチャンスを見出していきたいです」

アップテンポな攻撃で勝つためには、相手の攻撃を止め続ける時間ができてこそ、というのはこれまでも伝えてきたとおり。チームとして目指した方向性を、これからもブラッシュアップしていくことが必要になるだろう。中村も後半戦に向けて、前を向くような言葉を残した。

「序盤はつまづいてしまいましたが、ロスターも揃いこれからもっと良いチームになっていけると思うので、今までやってきたバスケ、コーチ陣の言葉を信じて後半戦も戦っていきたいと思います」

今季も神栖に勝利を届けよう

次節は今年初のホームゲーム。会場はかみす防災アリーナだ。昨シーズンは開幕直後にこの地での試合となり、ロボッツのB1初勝利の舞台となった。今回の対戦相手は西地区の名古屋ダイヤモンドドルフィンズだ。名古屋Dとは、昨シーズンにアウェーでの対戦が予定されていたが、コロナ禍で中止となったまま対戦機会が消滅。よって、この対戦がB1での初顔合わせとなる。

名古屋Dは1試合平均得点が88.3とリーグトップ。チーム内で#2齋藤拓実や#4コティ・クラークなど5人が2桁得点を記録しており、攻撃力の厚みも大きなポイントである。ハードな戦いを信条とするショーン・デニスHCのもと、ベンチワークも含めて常にエナジーを発揮する試合運びを狙ってくると考えられ、ロボッツとしては40分間高い集中力を発揮し続ける必要があるだろう。

オールラウンドに守り、そこから攻め込むというバスケを狙うならば、ロボッツはタプスコットの出番だろう。身長のミスマッチをこらえながら、ここぞというタイミングで相手のシュートの間合いを潰していく。逆にオフェンスではどれだけ名古屋Dのインサイド陣をすり抜けていけるかがポイントになる。

B1での初勝利を飾ってから1年以上が経った。年に一度の開催を楽しみに訪れるファンも多いであろう神栖で、成長をしっかりと見せつける一戦となることを期待したい。

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