【AFTER GAME】 2020-21第21節 福岡戦(2/13~14)~連勝ならずも課題は明確。チーム一丸で乗り越えよう~

取材:文:荒 大 text by Masaru Ara
撮影:B.LEAGUE

B2西地区・5位のライジングゼファー福岡とのアウェーゲームは、今季のレギュラーシーズンでは唯一の対決。上位に食らいつきたい者同士の戦いで、ロボッツはGAME1を89-73で勝利したものの、GAME2を94-102で落とし、1勝1敗の痛み分けとなった。また、敗れた試合では今シーズン初の3桁失点を喫してしまった。両試合を見ていくと、鍵となったのはディフェンス。特にペイントエリアでのディフェンスが、勝敗をそのまま分けていったように見える。試合のスタッツや選手などのコメントなども交えながら、この2試合を振り返っていきたい。

ツボをおさえて守り勝ったGAME1

GAME1、福岡は立ち上がりからガード陣が中心となって、前線からファウルをいとわないハードなディフェンスでロボッツへと立ち向かう。これに対してロボッツはなかなかゴール下まで攻め込めない状況となったが、要所で#2福澤晃平や#6小林大祐らが3ポイントシュートを沈め、前半は点差の詰まった展開となっていく。

クロスゲームの裏には、ディフェンスの力強さが存在していたことも挙げられる。スターター起用された#31アブドゥーラ・クウソーがペリメーターからペイントエリアにかけて精力的に走り回ることによって、福岡の外国籍選手たちの自由な立ち回りを許さなかった。途中からコートに立った#4小寺ハミルトンゲイリーも、ゴール下の番人となって、危険地帯を守り続ける。また、アウトサイドに陣取った選手たちも、相手の外国籍選手にボールを集めようとする動きを遮っていく。福岡のオフェンスはやや分断気味に陥り、ロボッツは守りから試合の主導権を握っていった。

その効果は、ロボッツが点差を突き放した第3クォーターで表れる。このクォーターでのペイントエリア内でのシュート回数を見ていくと、ロボッツと福岡の間で大きな差が出ていることが分かる。ロボッツが13回試投・8回成功で60%以上の成功率を記録したのに対して、福岡はロボッツのおよそ半分となる7回の試投にとどまり、成功はわずかに2つ。安易にペイントエリアにボールを運ばせず、また簡単にシュートも打たせない。そんなディフェンスが展開できていた証拠ともいえる結果であった。試合後、リチャード・グレスマンHCも「ペイントショットをおさえられたことが、勝利の大きな鍵になった」と、その手応えを振り返った。

また、後半では小寺がオフェンスのアクセントとなった。これまではパスの出し手やリバウンドを奪う姿などで、どちらかといえば「黒子役」ともいうべき活躍をしていた小寺が、どん欲にシュートを狙い、ゴールに向かってアタックを仕掛ける。後半だけで9得点を挙げた小寺は、この時の状況を試合後にこう振り返った。

「後半になってペイントでのショットだったり、チャンスがあれば自分でも激しくアタックしていくという意識を持ったことで、平尾選手やタプスコット選手がオープンになるチャンスを作れたと思っています。これまでは周りを活かす役割を果たすことが多かったので、自分がアグレッシブに攻めるということはあまりなかったのですが、今日は自らアタックする役割を果たすことも必要だったと思います。」

試合を通じた個人スコアでは、小寺が13得点、#25平尾充庸が17得点を挙げるなど、5人が2桁得点を記録したロボッツ。スタッツからも、一人に頼りきりにならず、ロボッツが強みとするボールが動くバスケットを体現できた、そんな一戦だったのではないだろうか。

抑えきれなかったインサイド。ファウルトラブルも重なって

GAME2、今度は福岡の外国籍選手たちに獅子奮迅の活躍を許してしまう。特に力強いパフォーマンスを見せたのが、#55ジェラルド・ビバリーだった。前日、ロボッツが守りきったペイントエリアを切り裂くようにして得点を荒稼ぎしたビバリーは、前半だけで23得点を挙げる。ロボッツもなんとか彼の勢いを止めるべく、小寺やクウソーらが中心となって辛抱強くゴール下を守りにかかったが、特に小寺の個人ファウルがかさみ、前半からファウルトラブルに陥ってしまった。その一方で、ロボッツのオフェンスが粘り強く福岡のインサイドを突き続けていったことで、前半を同点で折り返すことに成功する。だが、グレスマンHCは試合を振り返り、序盤からディフェンスが課題だったことを明かす。

「福岡さんが勝利をどん欲に求めていたという試合で、ロボッツは前半からディフェンスの危機感が足りませんでしたし、出だしのようなパフォーマンスが良くないところから上がっていくような形でもありませんでした。前日と比べても、ペイントエリアを守るという意識が低くなっていたように感じました。」

なかなかディフェンスのパフォーマンスを上げられない中、勝負は第3クォーターに一気に動く。福岡はビバリーだけでなく、#7ジョーダン・グリンや#22ジャマール・ソープといったフォワード陣が立て続けにゴールに迫る猛攻をみせたほか、ファウルをうまくもらい続けることで、時計が止まった状態でも得点を重ねていった。

一方、ロボッツはこのクォーターでシュートタッチがやや重くなり、リバウンドもなかなか取れない状況となってしまう。前日勝負を分けたペイントエリアでのシュート回数や成功率でも、今度は福岡に上回られてしまった。このクォーターを終えた段階で、一気にロボッツは14点のビハインドを背負ってしまった。

第4クォーター、さらに点差を引き離したい福岡がターンオーバーを連発したことで、ロボッツは一気に点差を詰める。残り時間が少なくなる中、福澤や小林、#13中村功平が続けざまに3ポイントシュートを沈め、福岡に追いすがった。しかし、小寺や平尾、試合の最終盤には福澤が立て続けに5つの個人ファウルを記録して退場となってしまったことで、選手のローテーションでも難しい局面に直面する。さらに、ファウルによるフリースローを福岡が着実に決めることで、点差も詰められなくなっていった。 

強力な外国籍選手を擁するチームを相手に戦うに当たって、やはり必要なのはペイントエリアにおけるディフェンスの強度やリバウンドを着実に奪うことといった地道なプレーの粘り強さである。短期間で魔法のように改善することは難しいところだが、上位陣との激突が続く終盤戦やプレーオフを勝ち抜くためにも、再び立て直しを目指してほしい。

ホーム4連戦がスタート。心新たに、勝利を手にしよう

ここからは茨城でのホーム4連戦。まずは青森ワッツをアダストリアみとアリーナに迎え撃つ。すでに4試合を戦っている青森とは、これが今シーズン最後の対決となる。これまでロボッツの4勝で迎える対決となるが、決して気を緩めることなく、一戦必勝を期して戦ってほしい。

青森の注目選手は、#41スティーブン・ハート。内外を問わずシュートを放つ攻撃的なプレースタイルが特徴で、チーム最多となる1試合平均14.5得点を挙げている。彼をフリーにしてしまう展開を減らしていくことで、ロボッツは相手の得点チャンスを削っていきたいところだ。

対するロボッツは、B2リーグの平均得点ランキング1位に座る、#15マーク・トラソリーニに注目だ。その得点力もさることながら、ここ一番の守備でもロボッツをたびたび救う働きをみせている。攻守にわたって彼が躍動することで、ロボッツの勝利はより近くに手繰り寄せられるだろう。

昨年10月に開幕を迎えたBリーグの戦いは、まもなく終盤戦に差し掛かろうとしている。ロボッツが白熱の上位争いから抜け出すためにも、ぜひ選手たちの背中を、アリーナやバスケットLIVEでの応援で押してほしいところだ。

ハイライト動画

おすすめの記事