【AFTER GAME】 2021-22 滋賀戦(10/9~10)~見えた勝ち筋。一貫性を持ち続けて~

取材:文:荒 大 text by Masaru ARA
撮影:B.LEAGUE

開幕以来、アウェーでの戦いが続くロボッツ。第2節の相手は西地区の滋賀レイクスターズ。ロボッツは開幕節では鳴りをひそめてしまったアップテンポなオフェンスを取り戻し、滋賀に対抗し続けるも、GAME1を93-88、GAME2は85-77とされ、開幕4連敗となってしまった。ただ、戦いそのものには、ロボッツが遂行しようとするバスケットの形が見えた。ならば、そのスタイルで勝利を目指すのみ。今節のAFTER GAMEでは、今後の戦いに勝つためのピースを探ることとする。

前節からの修正。そして生まれた流動性

今節は#7西川貴之がチームに帯同しなかったものの、開幕節でエントリーから外れた#21エリック・ジェイコブセンが戦線に復帰。ジェイコブセンは2試合ともにスターターを務めた。GAME1では、第1クォーターで早々にファウルトラブルに陥ったことでプレータイムが制限されてしまったが、ロボッツの攻撃の形が、彼を通して見えてくることとなった。ジェイコブセンがスクリーナーとしてしっかりと相手をはがす。彼が常にフォローの目を光らせることで、ピック&ロールからゴール下までドライブを重ねられる。一方でジェイコブセンがディフェンスの収縮を生むため、アウトサイドでは孤立させること無く、第2、第3の選手が待ち構える。結果として、ボールハンドラーにいくつもの選択肢が確保された状態を作ることができた。

一方で、流動性に一役買ったのは、シューター陣だけではなかった。#14髙橋祐二や#29鶴巻啓太が、オフボールの状態でゴール下へと飛び込んでいく。空いたところへすかさずパスが飛び、得点にもつながった。コート上の縦の連携が取れたことの効果は大きい。昨シーズン、#25平尾充庸が「いかに2点を取るか」ということにこだわりを見せていただけに、こうしたシーンがどんどんと増えていくことを願いたいところだ。

スタッツを見ても、秋田戦の2試合でいずれも20を超えなかったアシストが、GAME1で23、GAME2で22と、昨シーズンの1試合平均(22.4)に近い数値を記録した。どれかが劇的に良くなった、ということでなく、コート上でのいくつかの出来事の相乗効果として相手とのズレを作ることができた結果とも言えるだろう。GAME1で3ポイントシュート3本を決めた#2福澤晃平はオフェンスの改善をこう語る。

「エリック選手が戻ってきて、彼がペイントエリアにいてポジション取りをしてくれるだけで、相手チームは警戒しなきゃいけなかったりすると思うんです。それによって、シューター陣もオープンを作ることができたのかなと思います。」

福澤は続けて、開幕節だった秋田ノーザンハピネッツ戦での苦悩も踏まえて、改めてB1での活躍に必要なことを話す。

「秋田さんは本当にハードなディフェンスを40分間やり通していたので、コンタクトも激しくやり合って、体も少し疲れている中で決めに行く力はまだ足りていないと感じました。強いコンタクトにも慣れていって、それを経ても決めきれる。そんな力が必要になるかと思います。個人としても練習から良くしていける部分は見えたような気がしています。」

福澤としては、開幕前のインタビューで危惧していた出来事が、図らずも実際に起きてしまった格好でもある。並外れた能力を持つ選手が揃うだけに、「B1慣れ」が進んだ先で、大きな化学変化が起こることを期待したい。

かすかな糸口から一発で決めきる

一方で、ロボッツは開幕節に続いて、ターンオーバーからの失点、あるいは早い展開のオフェンスに苦しんだ。GAME1を見てみると、ターンオーバー18に対して、そこからの失点が30。ファストブレイク(速攻かつ攻撃側が数的優位の状態)による失点も18となった。GAME2ではいくつかのスタッツは改善したものの(ターンオーバー15、ターンオーバーからの失点18)、ファストブレイクによる失点は19に達した。平尾が語るように「質の悪いターンオーバー」が顔を出してしまった感は否めない。

起きてしまったことに「たら・れば」を使ってはいけないが、そこに至るまでのロボッツのオフェンスが一本でも決まっていれば、と思ってしまった方もいるはずだ。特にゲーム終盤において、滋賀の#14柏倉哲平や#15キーファー・ラベナが見せたプレーは、ロボッツにとってもある意味劇薬になるはずだ。状況を打破するにはそれしかないという一発のプレーを完遂させ、会場の雰囲気や流れを根こそぎ自分たちのところへと持ってくる。ただ、その場での勝負で上回るというだけでなく、「盛り上げて勝つ」という、まさにプロと言うべきプレーだった。B1で勝つためには、そんなプレーも必要なのだと、知らせてくれるかのようでもあった。

2試合を振り返って、平尾はこのように話す。

「この2試合で勝てなかったというのは、自分たちのバスケットが遂行しきれていない部分があって、ターンオーバーやミスという部分がこの2試合で明確になったと思います。ミスをしないように周りでカバーをし合う。相手の外国籍選手に好きにさせないためにも、ガード陣もしっかりヘルプに回って、全員で戦い抜きたいと思います。」

一方で光も見えた2試合。平尾はポジティブな面についてはこう続ける。

「アップテンポなバスケットを目指しているんですけども、それをいくつかコートの中で表現することもできました。しっかり遂行すること、ポイントにつなげることをやっていきたいと思います。」

試されているのは、「ロボッツのバスケット」をブレることなくやりきること。それがしっかりと勝利につながる瞬間を、楽しみにしていたい。

ホームにて、強豪から初勝利を

アウェーでの4試合で、残念ながらB1での初勝利とはならなかった。ならば、ホームで初勝利を果たすのみだ。次節はいよいよホーム開幕戦。B1東地区の強豪、宇都宮ブレックスをアダストリアみとアリーナに迎える。宇都宮は開幕4試合を全て宇都宮のホームで戦ったが、1勝3敗とまだ波に乗り切れてないような状態。だが、その状況を侮ってはならない。

宇都宮の注目選手は#6比江島慎。開幕戦こそ不発気味になってしまったが、その後は本来の調子を取り戻し、3試合連続で2桁得点を記録している。独特の「比江島ステップ」からどんどんと得点を生み出す、日本屈指のウイングプレイヤーを相手に取るだけに、1on1だけでない手厚いディフェンスを展開していきたい。鶴巻、あるいは#11チェハーレス・タプスコットらが彼を止められるかが、カギになることだろう。

対するロボッツは、シューター陣の働きに注目したい。フロントコート陣に強力な選手が揃う宇都宮を相手にするだけに、プレシーズンゲームの越谷アルファーズ戦で見せたように、コート上の全員がアウトサイドに陣取る「5アウト」のような陣形を選択する可能性も存在する。状態を上げてきた福澤や、滋賀戦で数々のタフショットをねじ込んだ平尾などがより良い状態で臨めれば、得点を伸ばせる可能性は高くなる。ただ、これを成功させるためにも、オフボールの動きをより良くしていくことは当然必要だ。全員で戦うバスケットを、しっかりと表現していきたい。

ファンが待ち望む、B1での勝利。ここからのホーム4連戦、茨城のファンの前でロボッツ戦士が躍動し、勝利を届けてくれることを願いたい。

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